高速道路の追い越し車線で停車させることと危険運転については前にも書きました。
多くの後続車がよけていたという主張を認めることは、社会でなされる様々な安全対策・配慮の義務から逃れることを可能にする論理を認めることになります。
その主張が正しいのであれば、停車を禁止することが間違いとされる必要があります。
そして、車両が大型でなくても、高速で衝突すれば死亡事故につながりますし、追い越し車線でなくても、大型車両が追突する可能性はあります。
仮に衝突した側がバイクや自転車であったとしても、死亡事故につながれば、死亡について免責されるわけではないはずです。
予めなされている危険性の判断は、実際に追突した側の特殊事情によって後から変わるものではないので、危険な行為から生じた結果について責任を問われる必要があります。
追突した側に主な原因があるのであれば、停車したことと相当な因果関係はないと判断されるべきでしょう。
しかし、追突を防げる車間距離が常に保たれ、後続車に運転ミスがないことなどを前提とすることはできません。
他者の過失も相俟った危険が予め想定されており、それらが踏えられた上での禁止行為であり、危険な行為であると考えられます。
その様な因果の流れは、一般的に予め想定されていると考えられるので、法文の解釈・適用については、罪刑法定主義に抵触するものではないと考えます。
たとえば、危険物の取扱いで事故が発生した場合、他者の過失が伴なったとしても、責任を問われることはあるでしょう。
悪質な犯罪について重い法定刑が定められていれば、それが適用されるのは当然のことです。
また、あおり運転の最初からを因果関係に含めるのは広げすぎだとしても、他の車両が高速走行する状況で、運転操作として減速・停車することで危険な状態を生じさせた時点からは、原因と結果の関係は途切れておらず、因果関係があると考えられます。