制服の第二ボタン。
制服の胸のボタンを~と、「卒業」で歌われているシーンは、高校卒業なのだろう。
私の場合、高校は共学ではなかったので、高校卒業時には 残念ながらドラマチックな出来事はなかった。
今はどうなのだろう。
服装が自由だったり、詰め襟ではなかったり。
中学に入学した最初の時、( 座席が指定されていたと思うが ) 廊下側の後ろ近くに座っていた。
越境入学で、同じ小学校の男子生徒はそのクラスにはいなかった。
前の座席の男子生徒が ( その子も別の小学校からの越境で ) 話し掛けてきて、親しくなった。
その子はバスケット部に入り、陸上競技会では1500mに出場したりして、三年生の時には、学校で一番モテていたと思う。
イケメンのうえ、女子も含めて誰とでも気さくに話せる子で、悪く思う子はいなかったはずだ。
卒業式の帰り、彼は制服の前ボタンが全部無くなっていた。
袖口のボタンも無かったかもしれない。(もしかしたら、Yシャツも?)
( 制服の第二ボタンに意味があることは知っていたが、当時の自分たちの間では、自分から渡したりするようなことは知らなかったような気がする。)
僕の制服のボタンが欲しいという子がいて頼まれたからと、女子生徒が近づいてきた。
そして、第二ボタンに指先を掛けて、「 取っていい?」と聞いた。
瞬間的に返事ができず、簡単には取れないだろうとも思い、そのまま立ちすくんだ感じになっていたのだが、それが … ( 縫い付け方が弱かったのかもしれない。また、今の制服は違うらしいが。) いとも簡単に取れた。
少し驚いたこともあってか、記憶に強く残っている。
ボタンの付け根に、中指と薬指の間?を差し込んで、拳の辺りでテコを効かせるようにして握る感じで ( 手首も少し効かせるような感じだったか ) 、胸に当てられた感覚が今も残っている。
誰に頼まれたの?とも聞かず仕舞いだったが、何年か後に、本人?からの手紙の中で、そのボタンは今は別の子が持っていると記されていた。
渡った先の子が誰なのかも知らないままだが、自分にも好意を抱いてくれた人がいたことは、とてもありがたく、青春の大切な思い出となっている。
好きな曲の中に、選抜高校野球の入場行進曲にもなった「青春」がある。
その歌詞は、制服の金ボタンへの想いと共に終えられている。