自衛隊の災害派遣が、自衛隊法3条、83条、その他関係法令に基づく任務であるなら、それは任務の範囲内のことであり、都道府県知事による要請は、単なるお願いや希望の域に止まるものではないと解されます。
自衛隊が違憲であると考える場合でも、自衛隊は税金によって現実に組織されているので、軍事的な面を否定しつつ、災害対応など非軍事面を肯定して活動を求めることはできると考えられます。
もちろん軍事的な面への憂慮が重視されることもあるでしょう。
文民統制の視点から、どちらの判断とも可能でなければならないと考えられます。
仮に実力組織の意向と同じ考え方の政権であれば文民統制に意味はなく、それが意味を持つのは実力組織側の考えと相反する場合です。
文民は個人の属性だけでなく、対武官として一般市民全体としても捉えられる必要があり、文民統制は公共性の観点から判断されるべきであると考えられます。
災害派遣の恩恵を利用して、自衛隊員の募集に関して、個人情報の取り扱い上、特例的で問題があるような協力を政権が自治体に求めるのは間違いです。
人として様々なことに感謝したほうが良いのは、自衛隊に限ったことではなく、消防でもその他のことでも同じです。
自衛隊の任務が、厚意や恩恵であるかのように扱われ、実態としては、自治体や市民が統制されているような状況に陥ってしまっているように思われます。