GoToキャンペーンで東京を除外するということに関しては、災禍に見舞われている人々を除外した優遇政策になってしまうので問題がある。
制限やその緩和に地域差を設けるのはやむを得ないとしても、資金的優遇差は行き過ぎとなる。
感染症や経済の知見を示す場合にも、倫理的なフィルターは不可欠である。
倫理面を読み誤った政治と知見のやりとりでは、道を踏み外す。
各地で感染者が増えている状況では、東京を除外してもしなくても、危険に見合った効果は期待できず、後の負担が増すのではなかろうか。
不幸な出来事があった場合に、旅行業やエンターテインメント業などが影響を受けることは、人の道徳感覚からは当たり前で、生活経済のためとして、道徳のほうを変えて楽しみを推し進めるというのは無理があるし、すべきではない。
この場合でも、生活を保障すれば事業を不自然な形で保護する必要はなくなる。
事業が再び求められる蓋然性が高ければ、再開できるようにしておく必要があるが、求められていない産業が保護されることはこれまでに批判されてきたはずだ。
観光立国だとして産業の保護に力を入れると、不幸な出来事が起こってしまった場合でも、それをよそ目にすぐさま楽しむことが正しいかのようになってしまう。
余裕のある人への優遇が、国策として繰り返されていくことにもなる。
災害後にその地域の人々が旅行に訪れてほしいと求める場合に応じるようなことは例外的に捉えるべきであり、ある程度の生活が保障されればそのような無理をする必要がなくなる。
生活に余裕がない人の状況を改善せずに、旅行するゆとりのある人を優遇する政策はおかしい。
医療従事者に報いることより、観光が優先される現状はおかしい。
各知事を含め為政者は、倫理的な吟味を疎かにすべきではない。