犯罪被害者の実名報道については、遺族の意向に沿うべきであると考えます。
被害者本人の意思を尊重するのであれば、臓器提供の意思表示欄に添え書きするなどしたものを尊重するというやり方も考えられますが、現実に報道の影響を受けるのは遺族なので、遺族が本人の意向も踏まえて判断したことを尊重すべきだと思います。
遺族の判断が分かれた場合には、プライバシーは非公開のほうが原則で優先されると考えられます。
また、遺族の範囲については、法令関係を踏まえて判断されると思います。
命の重さや事件の重大性などを社会が共有するために、実名が必要であるという理由には疑問を抱きます。
知らない人にとっては、本名でも仮名でも匿名でも、命の重さや事件の重大性に変わりはありません。
また、Aさんという表現を必ず使わなければならないということでもないでしょうし、慣れもあるでしょう。
想像力を働かせなければならないというほどの困難はないと感じられます。
ABCがそぐわない場合には、仮名が既に使用されたりしていると思われます。
実名がないと思いやりを持てないとも思われません。
災害の被災者の名前が分からなかったとしても、助けたい気持ちが薄れるわけではないでしょう。
実名が報じられているかどうかより、報道の仕方や頻度などで変わると思われます。
検証のために必要な情報ということであれば、一般に公開することとは分けて、適切な方法を考えていく必要があります。
大きな被害を受けた方に、更に公益性を強いるのは、真にやむをえない場合に限るべきであると考えます。