大学入学共通テストを利用しない大学を文科省に指導させようとする与党議員の発言は、自由な議論だとして肯定することはできない。
自由な議論とは、強者が優越的な立場に基づいて自由に強弁できるということではない。
正当な議論が成立するためには、すべての人に平等・対等な言論の自由や自己決定権が保障されている状況が必要である。
権利や権限に基づく主張であれば、それが正当であるかどうかが問題なのであり、言論の自由として強者の強弁が保障されるべきではない。
独裁者の恣意的な言動を言論の自由として擁護するのがおかしいのと同じである。
議院内閣制も、与党議員の優越的な立場を擁護するためのものではない。
内閣は、国会に対して責任を負っているのであり、与党に対してのみ責任を負っているわけではない。
政治家が優越的な地位に基づいて他者を従わせようとするのは、政治的圧力である。
結果的に奏功・影響していないとして、問題無しとするのはおかしい。
正当な権利が無いにもかかわらず他者を従わせようとする言動も、他者の自由を阻害する。
間接的にでも不当な圧力が掛かる状況では、議論がなされているとは言えない。
学問の自由や大学の自治に反し、言論の正しさ以外の力を行使しようとするのであれば、選良とは言えない。